制作・脚本・監督・主演とベン・スティラー渾身のバカ映画「トロピックサンダー」。
ベン・スティーラー、ジャック・ブラック、ロバート・ダウニーJrと主演の三人だけでも凄いのに、そこにトム・クルーズ、マシュー・マコノヒーにニック・ノルティまで出てるというこの手のコメディ映画としては異様なくらいの豪華キャスト。
みんな揃ってバカ演技を楽しんでるところが最高です!
これは私が見た中での最高のコメディ映画のひとつですね。いつ見ても爆笑してしまいますが、絶対子供には見せられない映画です。。
アメリカのコメディは日本では受けがあまりよくないですが、この作品は日本人が見ても相当笑える映画だと思います。基本、刺激を強くしたドリフのようなものですから。。
もともと駆け出しの頃のベン・スティーラーがトム・クルーズのモノマネをしていたところをトムが気に入り、それ以来の仲ということもあって、トム・クルーズのキャリアの中でも異例中の異例の映画.....というよりもぶっ飛びすぎたキャラクターを演じています。
トムの演じる大物プロデューサーのモデルは複数人いるようで、セクハラ問題でキャリアを失った「あの」HWさんもそのひとりとか。それらの嫌われ者プロデューサーをルックス・性格などすべての要素を盛り込んだ濃いキャラクターを演じて、これだけ笑いがとれる俳優は、もしかするとトム・クルーズ以外に考えられないんじゃないでしょうか。
それくらい意外すぎるキャラクターですが、私の中でトム・クルーズをイメージすると真っ先にこのキャラが浮かぶくらい強烈な演技です。
ロバート・ダウニーJrは、この作品で、役作りの度が過ぎて整形手術で黒人の肌を移植したメソッド俳優のキャラクターを演じてます。
ある意味、彼のそれまでのキャリアを小馬鹿にしたようなキャラクターを楽しんで演じてますね。黒人訛りも完璧らしく、アメリカ人が見ると黒人がしゃべっているようにしか聞こえないぐらい完璧だったらしいです。ということもあって、この役でオスカーにノミネートされているのですが、このキャラをノミネートするアカデミー賞の懐の深さも感じますね。
ダウニーJrはコメディっぽい演技が持ち味ですが、この映画はコメディですが役柄的に役者バカなので全然まじめで、まじめな人から出てくる笑える部分をうまく抽出していて「さすが」という演技です。
この作品自体コメディですが、シニカルの極地のような映画で、当時の映画業界のあらゆるものに対して中指を立てているようなパンクな作品なのですが、やはりダウニーJrは本質的にパンクな映画が似合いますね。
「アイアンマン」の一作目と同じ年に公開された作品ですが、ダウニーJrのキャリアを語る上で重要な作品が同じ年に公開されたというのも面白いですね。
でも結局は、全部トムクルーズにもってかれてる映画なんですけどね。。