狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

バック・トゥ・ザ・フューチャー人気再燃の疑問から連想した映画「26世紀青年」

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最近、テレビ放送をきっかけに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の人気が再燃してる.....そうですね。

私はここ十年くらいニュースやW杯以外は地上波のテレビをほとんど見ない人間なので、正直今頃「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が人気と言われてもピンと来ません。

アメリカで再びブラック・ライブズ・マターが起こる中、主要登場人物が全て白人で、50年代の白人天国のアメリカを礼讃しまくり、ロックンロールまで白人によって作られたと歴史をねじまげる...という、裏にはそんな当時のレーガン政権のプロパガンダ的思想が隠されている映画なんですね、実は。

アメリカで「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と「フォレスト・ガンプ」を口に出すと、完全にトランプ支持者のレッテルをはられてしまいそうです。。

そんな映画を能天気にテレビで放送し人気再燃する日本って、どれだけ意識が低いのか.....と思いますが、それについては次に語るとして、今回はそれとはまた違う観点で失望したことを書いてみます。

バック・トゥ・ザ・フューチャー」は、私も中学生の時にリアルタイムで映画館に行き、大学一年で2と3が上映された際は、先行オールナイトで見に行き、VHSビデオ3巻セットを所有している(あまり見たことはないのですが...)くらい個人的にも大好きな映画だったのですが、35年も前の映画が今になっても注目されること自体、現在の日本の「文化」に対する意識の低さを露呈している気がしてなりません。

昨今、日本でヒットする洋画は、アニメやアメコミものを除いて、そのほとんどがスターウォーズなどの70年代後半から90年代前半くらいにヒットしたものの続編やスピンオフばかりです。

シネコン形式になって以来、業界の事情で邦画ばかりが優先的に上映されるようになり、洋画を見ない人があまりにも増えたことに危機感を感じざるを得ません。

「邦画ばかりでなぜ悪い」と思われる方もいるでしょうが、私が若い頃とくらべても完全に邦画の質は落ちています。

邦画不況だった90年代においても各国の映画賞で評価を得ていた日本映画が、今では一部の監督以外ほとんど興味すらもたれず、逆にお隣の韓国映画がオスカーの作品賞をとる程、世界的にも評価されヒットしている現状を見ると悔しい限りです。。

しかし、そんな現在のシネコン系の邦画を見て満足している人が多いせいか、ドラマ性豊かな洋画を見ても理解できない世代が生まれていることが不安でなりません。

もちろん白石和彌監督をはじめ、メジャーでもインディでも優れた作品をつくる監督もいますが、ヒットする作品のほとんどが漫画原作やTVドラマの映画版、もしくは広告的な思惑が優先するオールスターキャストのものばかりです。

私のような映画好きが見て邦画で感動するものはインディ映画ばかりになってるのが現状で、日本人に90年代のTVドラマ的手法の映画こそが面白いという固定観念が植えつけられている結果なのではないでしょうか。

音楽についても同様で、洋楽をきく若者がほとんどいなくなり、海外のアーティストのライブに行くと半分以上が40代以上になっているのが現状です。

ネットでこれだけ世界とつながっている時代にも関わらず、日本人の文化的目線は内向きになる一方で、日本人の文化的リテラシーが、ここ十年あまりで救いようもないくらい低くなっていることに危険を感じています。

教育が悪いのか、日本人の生まれ持った特性かわかりませんが、SNSの時代において、いまだTV的な業界戦略に乗っかってしまう日本人の受動体質には、同じ日本人として呆れてしまうばかりです。コロナ自粛については、それがいいように作用したかもしれませんが。。

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緊急事態宣言の頃、時間がありあまって見た映画のひとつで「26世紀青年」というブラックコメディ映画がありました。

ストーリーは、アメリカの軍隊が男女1名ずつを選び冬眠実験をはじめる。26世紀になってようやく冬眠から目覚めるが、500年の間、賢い者が子作りを控える一方で知能の低い人間が子供を作り続けた結果、平均IQが低下し堕落した社会になっていた。ゴミだらけで、農作物を栽培する方法を知る者もいなくなった時代で、2005年では平均的IQだった主人公はインテリ扱いされ、内務長官に任命されるのだが.....というお話です。

IQが下がっているという点は置いておいて、この映画の26世紀の人々は幼稚園児くらいの表現しかできない人たちばかりで、下品な言葉ばかり使い、腕っ節の強い者が大統領になったりと、ほぼ原始的な社会に戻っています。

しかも農業用水にゲータレードを使うという唖然とするようなアホさ加減には「よくその発想が出来たなぁ」と考えた人を褒めたくなるレベルです。

文明が発達して、いつの間にか日常のあらゆる場面でコンピュータに頼りっきりとなっていますが、とはいえ、学校教育というものが確立されている限り、平均的にも一定のIQは保ち続けられるとは.....思います。

ただ「文化」というものは、どんどん見過ごされていくのが予想できます。

少子化とともに映画や文学、音楽に頻繁に接する年齢層が上がっていることが原因ですが、少なくなった若い世代が、昔とくらべて文化に対しての興味がなくなっていることを今、痛烈に感じます。ゲームをはじめ、SNSYouTubeだと面白いものが溢れている時代ですので、当然といえば当然なのですが。。

公開される映画も、その世代や急激に大きくなった中国マーケットなどにあわせて、半分ゲームのような単純なものばかりがヒットする現状です。

正直、現状HBOやNetflixなどが制作するドラマシリーズの方が、大人の知的好奇心を満足させてくれるものになっていますね。

バック・トゥ・ザ・フューチャー」が人気というのは、ある意味新しい世代がこういった普遍的な面白さをもつエンターテイメントに飢えている証拠ではないでしょうか。

まだCGがそれほど発達していなかった時代に、アイデアとカメラワーク、演技、編集という従来の映画手法のみで時代を超越した一級のエンターテイメント作品を作れるということを証明している作品です。

主人公のマーティのように、圧倒的な身体能力もなく、フォースも魔法も使えない普通の男の子が、ハラハラドキドキの大冒険をするだけで、これだけワクワクするストーリーを生み出せるのです。

マーティが「チキン」という言葉に異様に反応してしまうように、この映画はニューシネマの時代の無軌道な若者たちを主人公にした物語に通じるものがあり、主人公に感情移入しやすいといった点でも「庶民的」映画であって、同時代から誕生したスーパーヒーローもののアクション映画とは明らかに異なった視点でつくられています。

こういう人間臭い映画が今、世界的に見てもなくなりつつありますね、、残念ですが。

こんな時代状況ですので、若い世代がなかなか個人の時間を映画などの文化的なもので費やす人が減っていることは仕方がないかもしれませんが、大人の世代が面白い文化を忖度なしに伝え、この国の文化リテラシーが少しでも上がるような努力をしていってほしいものです。

偶然この記事を読んだ若い人に、面白い映画をどんどん伝えていこうと私も思っております。。

 

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